シリーズBとは?投資ラウンドの水準や資金調達方法について解説

シリーズBとは?投資ラウンドの水準や資金調達方法について解説

シリーズBとは、スタートアップに対する投資ラウンドの水準のことです。

スタートアップ企業やベンチャー企業において投資ラウンドを理解することで、適切な資金調達が行えます。

本記事では、シリーズBや投資ラウンドの水準、資金調達方法について解説します。ぜひ参考にしてください。

投資ラウンドとは

投資ラウンドとは

シリーズBとは、スタートアップに対する投資ラウンドの水準のことです。シリーズBを理解するうえで投資ラウンドについて理解しておく必要があります。

投資ラウンドとは、投資家がスタートアップに対して投資を行う段階のことであり、いくつかの水準に分けられます。それぞれの水準で調達額の相場が大体決まっているため、スタートアップは、それらを参考に資金調達します。

  1. エンジェルラウンド
  2. シード
  3. プレシリーズA
  4. シリーズA
  5. シリーズB
  6. シリーズC
  7. シリーズD以降

エンジェルラウンド

エンジェルラウンドは、創業前後のアイデア段階であり、調達額相場は約100万~1,000万円です。プロダクトやトラクションはなく、チーム作り中の段階となっています。エンジェルラウンドでの資金調達期間は、約数日から1ヶ月をかけて行います。

シード

続いてシードは、プロダクトがリリースされた段階であり、調達額相場は約500万~5,000万円です。チーム作りが完了しており、プロトタイプのプロダクトがある状態ですが、トラクションはありません。シードでの資金調達期間は、約数ヶ月をかけて行います。

プレシリーズA

プレシリーズAは、プロダクトの検証段階であり、調達額相場は、約5,000万~1億円です。プロダクトがα/βローンチ段階に入っており、トラクションが発生しています。プレシリーズAでの資金調達期間は、約数カ月をかけて行います。

シリーズA

シリーズAは、プロダクトが正式ローンチされ、ユーザー拡大の段階であり、調達額相場は約数億円です。プロダクトが正式ローンチされていることで、トラクションが出てきています。シリーズAでの資金調達期間は、約半年をかけて行います。

シリーズB

シリーズBについては後ほど詳しく解説しますが、マネタイズ検証済みの段階であり、調達額相場は約数億~数十億円です。プロダクトの機能拡充やトラクションが継続して発生します。シリーズBでの資金調達期間は、約半年以上をかけて行います。

シリーズC

シリーズCは、経営が安定し黒字が継続している段階であり、調達額相場は約数十億円です。プロダクトの新規開発やトラクションが手堅く拡大しています。シリーズCでの資金調達期間は、約半年以上をかけて行います。

シリーズD以降

シリーズD以降は、安定した収益を挙げられるようになっている段階であり、調達額相場は約数十億~数百億円です。M&AやIPOなどを考える状況であり、トラクションはシリーズC以上に拡大しています。シリーズD以降での資金調達期間は、約半年以上をかけて行います。

このように、投資ラウンドには事業状況によって水準があり、資金調達額の相場がシリーズDに行くにつれて多くなります。また、シリーズDに行くにつれベンチャーキャピタルやPEファンド、大物投資家による投資が行われ、資金調達方法も変わります。

シリーズBとは

シリーズBとは

前述したようにシリーズBとは、投資ラウンドの1つの水準です。シリーズBでは、マネタイズ検証済みの段階で、ビジネスが軌道に乗り始めている段階にあります。軌道に乗ったビジネスをもとにさらに企業を拡大する時期でもあり、投資してきたベンチャーキャピタルやPEファンド、投資家に還元するべく、収益の黒字化が求められます。

また、シリーズBの段階では、設備投資や人材投資、プロダクトの機能拡充などにより、シリーズA以上の資金調達が必要です。資金調達の期間としては、約半年以上をかけて行います。

シリーズBの資金調達方法

シリーズBの資金調達方法

シリーズBの段階で必要なことは、収益の黒字化です。黒字化のため、設備投資や人材投資、プロダクトの機能拡充などが重要になります。そのためには、多くの資金が必要不可欠です。そこで、シリーズBではベンチャーキャピタルやPEファンド、投資家だけでなく、金融機関からの融資や国や地方自治体からの補助金・助成金などを利用します。また、ファクタリングによる資金調達を行う企業もあります。

資金調達方法をまとめると以下の方法があります。

  • ベンチャーキャピタル
  • PEファンド
  • 投資家から
  • 金融機関からの融資
  • 国や地方自治体からの補助金・助成金
  • ファクタリング

ベンチャーキャピタルから資金調達を行うメリット

ベンチャーキャピタルから資金調達を行うメリット

ベンチャーキャピタルから資金調達を行うメリットは以下の3つです。

  1. 多くの資金調達が可能
  2. 返済義務がない
  3. ノウハウが学べる

それぞれ解説します。

メリット1.多くの資金調達が可能

ベンチャーキャピタルからの資金調達では、多くの資金調達が可能です。なぜなら、ベンチャーキャピタルは、ビジネスモデルを評価し投資するため、限度額がないからです。具体的には、金融機関からの融資では限度額があるため、資金調達に上限があります。しかし、ベンチャーキャピタルは、限度額がそもそもないため、ビジネスモデルに可能性を感じたら多くの資金を投資してくれます。多くの資金調達を行う場合は、ベンチャーキャピタルからの資金調達がおすすめです。

メリット2.返済義務がない

ベンチャーキャピタルからの資金調達では、返済義務がありません。理由として、ベンチャーキャピタルは投資元からの手数料やキャピタルゲインにより利益を出しており、金融機関からの融資のような担保が不要だからです。事業が上手くいかず赤字になる場合であっても返済義務がないため、安心して利用できます。

メリット3.ノウハウが学べる

ベンチャーキャピタルから資金調達をすると、経営のノウハウが学べます。ベンチャーキャピタルは、投資先のビジネスモデルを評価し、投資を行い、投資先が成長するとベンチャーキャピタルには大きな利益がもたらされます。そのため、ベンチャーキャピタルは積極的に投資先に経営のノウハウを提供し、投資先の成長をサポートします。

PEファンドから資金調達を行うメリット

PEファンドから資金調達を行うメリット

PEファンドから資金調達を行うメリットは以下の4つです。

  1. 企業の価値が高まりやすい
  2. 多くの資金調達が可能
  3. 自社に合う人材を紹介してもらえる
  4. M&Aのサポートをしてもらえる

それぞれ解説します。

メリット1.企業の価値が高まりやすい

PEファンドから資金調達を行うことで、企業価値の向上が行えます。なぜなら、ファンド側からのチームが派遣され、企業の課題やそれを解決するためのノウハウを学べるからです。ノウハウにより、企業は成長し、結果的に企業価値が高まります。

メリット2.多くの資金調達が可能

前述したベンチャーキャピタルのようにPEファンドからも多くの資金調達が可能です。また、企業のビジネスモデルを評価し、投資するため、返済義務はありません。

メリット3.自社に合う人材を紹介してもらえる

PEファンドは多くの企業に投資しているため、さまざまな業界の人脈が豊富です。豊富な人脈を活かし、自社に合う人材を紹介してもらえます。

メリット4.M&Aのサポートをしてもらえる

PEファンドには、M&A戦略に長けた人材が多く存在しています。シリーズBからシリーズCに成長した際にM&Aによるイグジットを考える場合、PEファンドのノウハウを活かしM&Aのサポートが可能です。PEファンドによるサポートにより、企業価値を高めた状態で売却できるため、M&Aによる利益が高まります。

投資家から資金調達を行うメリット

投資家から資金調達を行うメリット

投資家から資金調達を行うメリットは以下の2つです。

  1. 返済義務がない
  2. 人脈が生まれる

それぞれ解説します。

メリット1.返済義務がない

前述したベンチャーキャピタルやPEファンドのように投資家から資金調達も返済義務がありません。万が一事業が失敗した場合でも投資額を返済する必要がないため、安心して資金調達が可能です。

メリット2.人脈が生まれる

投資家から資金調達を行うことで、人脈が生まれます。投資家の多くは、1つの企業だけではなく多数の企業に投資しているため、豊富な人脈を持っています。投資家経由で経営者や別の投資家と交流でき、新たな人脈の構築が可能です。

金融機関から資金調達を行うメリット

金融機関から資金調達を行うメリット

金融機関から資金調達を行うメリットは以下の2つです。

  1. ハードルが低い
  2. 信頼度が高い

それぞれ解説します。

メリット1.ハードルが低い

信用情報がブラックでない限り、金融機関からの資金調達は難しくありません。基本的に金融機関からの融資は、信用情報をもとに出資するかしないかを決めています。投資と異なりビジネスモデルが評価されることで、資金調達が行える訳ではないため、ハードルが低いです。

メリット2.信頼度が高い

金融機関からの資金調達は、信頼度が高いです。なぜなら、銀行や信用金庫などの金融機関はお金を扱うプロであり、信頼関係をもとに業務をしているからです。また、金融機関は国による厳しい取り締まりにより、管理されています。このようなことから、金融機関からの資金調達は、信頼度が高く、安心して利用できます。

国や地方自治体から資金調達を行うメリット

国や地方自治体から資金調達を行うメリット

国や地方自治体から資金調達を行うメリットは以下の2つです。

  1. 税収に頼ることなく多くの資金調達が可能
  2. 信頼度が高い

それぞれ解説します。

メリット1.税収に頼ることなく多くの資金調達が可能

国や地方自治体からは、税収に頼ることなく多くの資金調達が可能であるため、税金対策を行いつつ資金調達を行えます。しかし、国や地方自治体から認められなければ資金調達できません。

メリット2.信頼度が高い

国や地方自治体からの資金調達は信頼度が高いです。前述したように認められなければ資金調達ができません。しかし、国や地方自治体が調達元であるため信頼度がとても高いです。

ファクタリングから資金調達を行うメリット

ファクタリングから資金調達を行うメリット

ファクタリングから資金調達を行うメリットは以下の2つです。

  1. 最短即日で資金調達が可能
  2. 担保不要

それぞれ解説します。

メリット1.最短即日で資金調達が可能

ファクタリングでは、最短即日で資金調達が可能です。売掛債権をファクタリング会社に売却することで資金調達を行うため、審査に通過すれば最短即日で利用可能です。また、審査は金融機関の融資ほど厳しくないため、利用するハードルが低くなっています。

メリット2.担保不要

金融機関の融資による資金調達では、借入であるため、担保が必要になります。しかし、ファクタリングは借入ではないため、担保不要です。また、ファクタリングは借入でないため、信用情報への影響もありません。

シリーズBでの資金調達の注意点

シリーズBでの資金調達の注意点

シリーズBでの資金調達方法は多岐に渡り、それぞれにメリットがあります。しかし、資金調達には注意点もあるため、理解した上で行いましょう。資金調達の注意点は以下の通りです。

  • 株式を手放しすぎない
  • 契約書の内容は要確認する

それぞれ解説します。

株式を手放しすぎない

投資先に株式を手放しすぎてしまうと経営権を奪われてしまうリスクが発生します。リスクを回避するため、株式をどの程度手放すか慎重に見極め、資金調達を行うようにしましょう。

契約書の内容は要確認する

契約書の内容は要確認するようにしましょう。契約書の中には企業にとって不利益な内容が含まれている場合もあります。一度契約を締結してしまうと、内容を変更できないことが多いため、契約締結前に経営のプロや弁護士などに確認してもらうようにしましょう。

まとめ

まとめ

本記事では、シリーズBや投資ラウンドの水準、資金調達方法について解説しました。シリーズBは、スタートアップに対する投資ラウンドの水準のことです。スタートアップ企業やベンチャー企業は投資ラウンドについて理解することで、適切な資金調達が可能になります。シリーズBでの資金調達方法は多岐に渡るため、注意点を理解したうえで利用しましょう。