【3種類】資金調達の流れや仕組み、メリット・デメリットを解説

【3種類】資金調達の流れや仕組み、メリット・デメリットを解説

銀行から融資を受けて資金調達を行っている経営者の皆さん、資金調達にはさまざまな種類があることをご存じでしょうか。
本記事では、資金調達がなぜ必要なのか、3種類ある資金調達方法のメリットやデメリット、それぞれの具体的な手法について解説します。
最後まで読むことで、資金調達についての視界が広がり、用途に応じて資金調達方法を使い分けることが可能となりますので、ぜひ最後までお読みください。

資金調達が必要な理由とは?

会社が事業を運営するためには資金が必要です。
自己資金で事業運営を行うには、会社規模にもよりますが、資金を外部より調達するのが一般的でしょう。
会社が資金を調達する場合は以下の4つです。

  • 会社を開業する時や新規事業を立ち上げる時
  • 事業を拡大する時
  • 設備投資を行う時
  • 運転資金が不足する時

それぞれについて解説していきます。

会社を開業する時や新規事業を立ち上げる時

会社を興す場合や新たに事業を立ち上げる時には資金が必要となります。
例えば、仕入資金や人件費、広告宣伝費や事務所の賃料や事務用品等、事業の準備段階である程度を自己資金で賄いたいものです。
とはいえ、不測の事態にも備えたいものです。
日本政策金融公庫では「新規事業資金」といった創業融資制度を取り扱っているので利用することも検討するのもいいでしょう。

事業を拡大する時

会社の事業が軌道に乗ると、ノウハウを生かして商圏を拡大する場合、資金が必要となります。例えば、増加運転資金や新しい事務所や工場を借りる時に必要な賃料や保証金、機械やパソコンなど事務用品の購入資金およびリース資金があります。
従業員の増加を検討する場合、人件費も必要となるかもしれません。
事業を拡大する場合、会社は安定した資金確保を行うのが不可欠です

設備投資を行う時

設備投資とは、会社が継続して事業を行い、さらに拡大を図るために設備など必要に応じて投資する資金です。
例えば、現在使用している機械の老朽化や、効率化を図るために高性能な機械を購入する場合、新しいシステムを導入したりする場合です。
新しい機械やシステムを導入するためには多額の資金が必要となります。
会社は設備投資の準備段階で長期の返済期間で資金調達を行うのが一般的です。

運転資金が不足する時

運転資金とは、仕入資金や人件費、広告宣伝費など、会社が事業を運営するに際して発生する費用をまかなう資金です。
わが国の商習慣は、「掛(かけ)」あるいは「つけ」という売上を計上しても現金入金は1~2ヶ月先になる取引が一般的です。
売上回収までにタイムラグが発生し、現金回収までに仕入資金や従業員の給与などを支払うため資金が必要となります。
資金不足を招かないため、会社は資金調達を行う必要があります。

3種類の資金調達

資金を調達するための方法には次の3種類があります。

  1. デットファイナンス
  2. エクイティファイナンス
  3. アセットファイナンス

それぞれについて貸借対照表を使って資金の流れをみていきましょう。

①デットファイナンス

デットファイナンスとは、返済義務のある負債を増やして現金預金を増やす資金調達方法です。

具体例として、100万円を銀行から融資を受けて資金調達を行った場合

貸借対照表上では、現金預金(資産)が増加し、負債も同じ金額増加し借方、貸方のバランスが取れています。
負債が増加するため、安全性の指標とされている自己資本比率(自己資本/総資産×100)が低下します。

デットファイナンスのメリット

・株主構成に変動がないため、経営権を第三者に握られることがなく、経営者の思い通りに会社運営ができる。
・銀行など金融機関からの借入にはプロパー融資、信用保証協会保証付融資、ビジネスローン等種類が豊富。
・日本政策金融公庫や制度融資を利用すれば低金利で調達が可能。
・社債発行には審査がないため、容易に資金調達が可能。

デットファイナンスのデメリット

・負債による調達であるため、返済(償還)義務があり、利息を支払わなければならないため費用がかかる。
・金融機関の融資には審査を受ける必要があり、会社の決算内容等によっては、審査に通らないこともある。
・金利を高く設定しないと社債を購入してもらえない可能性があり、換金性や流通性に欠ける点がある。
・負債の増加となるため、企業の安全性の指標である自己資本比率が低下する。

②エクイティファイナンス

エクイティファイナンスとは、資本の増加による資金調達方法です。
具体例として、100万円を株式発行して資金調達した場合

貸借対照表上では、現金預金(資産)が増加し、株主資本(自己資本)も同じ金額増加し借方、貸方のバランスが取れています。
株主資本(自己資本)が増加するため、安全性の指標とされている自己資本比率が高くなります。

エクイティファイナンスのメリット

・出資による資金調達であるため、会社は返済する必要のない資金が集められる
・自己資本の増加となるため、自己資本比率が上昇し、会社の安全性が増すため、信用度が高くなる。
・銀行など金融機関からの融資が受けやすくなる。

エクイティファイナンスのデメリット

・株式取得により株主割合が変動するため、株主が会社の経営に口出しする可能性があり、株主割合によっては経営権を握られる恐れがある
・投資家は、出資した会社の配当や株価の上昇を見込んで投資しているため、経営者は株主に対しての配当金にも気を配らねばならない。
・株式発行は時間と費用がかかり、手続きに不備があれば資金調達できない恐れがある。

③アセットファイナンス

アセットファイナンスとは資産の売却(主に流動資産)による資金調達方法です。
具体例として、100万円の売掛債権(受取手形、売掛金)を売却して資金調達した場合
(手数料等は考慮しないものとします)

貸借対照表上では、現金預金(資産)が増加し、流動資産(受取手形、売掛金)が同じ金額減少し借方、貸方のバランスが取れています。
総資産、株主資本(自己資本)ともに増減がないため、自己資本比率の変化はありません。

アセットファイナンスのメリット

・売掛債権を現金化するため、負債でないため、返済義務が発生しない。
・売掛債権(受取手形、売掛金)の減少、現金預金の増加という資産間での仕訳であるため、貸借対照表で安全性の指標である自己資本比率に影響がない。

アセットファイナンスのデメリット

・手形割引、ファクタリングともに割引料(手数料)がかかる。
・手形割引の場合、割引した手形が不渡手形となれば、割引利用事業者は不渡手形を買い戻さなければならない
・ファクタリングで3社間ファクタリングを利用の場合、売掛先にファクタリング利用を知られることになるため、ファクタリング利用事業者と売掛先との間の関係にヒビが入る恐れもある。

デットファイナンスによる資金調達の流れ

デットファイナンスとは、負債を増やして資金調達を行う方法です。
次の3種類が代表的なデットファイナンスです。

  • 融資の実行
  • 社債の発行
  • 私募債の発行

順番に解説します。

融資の実行

会社が資金を調達する際、一般的に利用するのは金融機関から融資を受けることではないでしょうか。
融資は銀行など市中金融機関や日本政策金融公庫に借入の申込みを行い、市中金融機関や日本政策金融公庫が申込会社を審査し、承認が下りれば申込会社の指定口座に入金されるされる流れです。
特徴として、銀行など市中金融機関では3種類の融資があり、各金融機関ごとに審査を行う「プロパー融資」、信用保証協会の保証を付けて行う「信用保証協会付融資」、審査が早い「ビジネスローン」があります。
特徴として、プロパー融資は審査が厳しい反面、低金利で利用が可能です。
日本政策金融公庫や信用保証協会保証付融資は資金使途が定められていて、固定金利で利用可能である一方、申込に際して多くの書類が必要となることも覚えておくといいでしょう。

社債の発行

社債とは、会社が発行する債券で公募債とも呼ばれます。
会社は社債を発行して資金調達が可能です。
社債は証券会社で販売されるため、購入者は直接発行会社に入金するのでなく、証券会社で社債を購入するしくみになっています。
会社は社債を発行するにあたり、あらかじめ額面金額や利率、償還期日を決めなければなりません。そのため、社債発行会社は、事業計画や償還期日に出金するキャッシュフローなどを十分検討して発行する必要があります
特徴として、社債発行において融資のように審査がないため発行は可能です。
一方で社債は株式でないため、償還日に債券購入者に返済しなければなりません。
また、金利も支払わなければならないため、利率の設定にも注意が必要です。

私募債の発行

私募債は社債の一種ですが、公募債と異なり、募集対象を限定して発行する社債です。
対象が適格機関投資家のみを対象とした「プロ私募債」と、投資家を限定せず、募集対象者数を限定した(50人未満)「少人数私募債」に分けられます。
私募債も公募債同様証券会社で購入できます。
特徴として、公募債発行の際に提出する有価証券届出書の提出が不要で、少人数を対象としているため引受け人一人あたりの購入金額が大きくなる傾向にあるようです。
私募債発行は証券保管振替機構(ほふり)に記録され、多くの金融機関が閲覧しているため、融資対象になる可能性もあります。
なお、証券保管振替機構とは、株券などの有価証券の保管、受け渡しを簡素化することを目的として制定された機関です。

エクイティファイナンスによる資金調達の流れ

エクイティファイナンスとは、株主資本(自己資本)の充実を図りながら資金調達を行う方法です。
主なエクイティファイナンスとして以下の4点があります。

  • 公募(時価発行増資)
  • 株主割当増資
  • 第三者割当増資
  • 転換社債型新株予約権付社債

それぞれについて見ていきましょう。

公募(時価発行増資)

公募(時価発行増資)とは、時価あるいは時価に近い価格で新株発行を行うことで資金調達を行う方法です。既存の株主に不利益を被らないよう、会社は価格を時価よりディスカウントして設定するのが一般的です。
逆に、割高に設定して株式を発行する場合、出資者が現れないリスクがあります。

株主割当増資

株主割当増資とは、現在株式を保有している株主に対し、所有株式に応じて新株引受権を与えることにより資金調達を行う方法です。
通常時価より低い金額で株主割当増資に関する払い込み金額は設定されています。
株主割当増資は、新規の投資家を対象していないのが特徴です。
既存の株主が対象で、保有割合に応じた増資であるため、株主比率の変動はありません。
そのため、新規の株主が大量の株式取得により株主比率が変動し、経営権を握るといったリスクはありません

第三者割当増資

第三者割当増資とは、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えて資金調達をおこなう方法です。
特定の第三者とは、通常、金融機関や取引先の企業、あるいは業務提携先などを指し、新株を引き受けてもらいます。
特徴として、株主構成に変化が生じ、既存株主の持ち株比率の低下が発生します。また、発行価格が時価より大きく下回ると、一株当たりの価格が目減りし、既存株主に不利益が被る恐れがあるため注意が必要です。

転換社債型新株予約権付社債

転換社債型新株予約権付社債とは、社債の一つで、転換価額で社債を株式に転換できる権利のついた社債です。
特徴として、社債であるため、償還日まで保有すれば利息と額面金額の払い戻しが可能です。また、転換価額で株式に転換して株価の値上がりによるキャピタルゲインを得ることもできます。

アセットファイナンスによる資金調達の流れ

アセットファイナンスとは、資産(主に流動資産)を買い取ってもらうことで資金調達を行う方法です。
主なアセットファイナンスは次の2通りです。

  • 手形割引
  • ファクタリング

それぞれについて解説します。

手形割引

手形割引とは、会社が保有する受取手形を銀行など市中金融機関または手形割引専門業者に買い取ってもらい、資金調達する方法です。
通常、手形期日の2~4ヶ月前に手形割引申込事業者は、利息にあたる割引料を支払って現金化し、返済は手形期日に一括返済します。
特徴として、振出先が手形期日に決済できず、いわゆる「不渡手形」となった場合、手形を割り引いてもらった事業者は、不渡手形を金融機関等割り引いてもらった業者から買い戻さなければなりません(買戻請求権)

ファクタリング

ファクタリングとは、会社が保有する売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい資金調達を行う方法です。
1~2ヶ月後に入金される売掛金に手数料を支払って現金化します。
手法として2通りあり、申込会社とファクタリング会社との間で取引を行う2社間ファクタリングと、申込会社とファクタリング会社、売掛先との間で取引を行う3社間ファクタリングです。
特徴として、申込会社が債務超過や税金を滞納している場合でも、審査に影響しないケースが多いです。
また、売掛先が債務不履行に陥った場合でも売掛金を買い戻す必要がない場合が一般的です。
反面、売掛金未回収リスクを織り込んでいるため、手数料が10%を超えるケースがあります

まとめ

会社が事業を運営するには資金が必要です。
資金が必要な理由は以下の4点です。

  • 会社を開業する時や新規事業を立ち上げる時
  • 事業を拡大する時
  • 設備投資を行う時
  • 運転資金が不足する時

また、資金を調達する方法として次の3種類があります。

  • デットファイナンス
  • エクイティファイナンス
  • アセットファイナンス

資金調達方法の中にもさまざまな手法があり、またメリットやデメリットがあります。
経営者はニーズにあった資金調達方法をチョイスしなければなりません。
円滑な事業運営の一助となることを願っています。