クラウドファンディングで資金調達を!種類やメリット・デメリットを解説

クラウドファンディングで資金調達を!種類やメリット・デメリットを解説

資金調達の一つで最近脚光を浴びている方法のひとつとしてクラウドファンディングがあります。クラウドファンディングはインターネットで不特定多数の人たちから資金調達する方法です
本記事では新しい資金調達の一つであるクラウドファンディングについて解説します。
インターネットを介して行うクラウドファンディングの特徴から種類、メリット・デメリット、そして実施や流れについて解説します。
融資などと違った資金調達方法に興味のある人はぜひ最後までお読みください。

クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングとは、「クラウド(crowd、群衆)」「ファンディング(funding、基金)」を組み合わせた造語で、インターネット上において、不特定多数から資金の調達を行う方法のことです。
従来の融資や社債発行、ベンチャーキャピタルといった資金調達とは違う、新しい資金調達方法として注目されています。
クラウドファンディングは、米国で2000年代初頭から利用され、インターネットの普及で人気となりました。
日本では、2011年に発生した東日本大震災において、広く知れ渡るようになり、現在ではさまざまなジャンルで利用されています。
株式会社矢野経済研究所の調査によると、2021年度の国内クラウドファンディング市場規模は、2020年度と比較すると、マイナス11.1%の1,642億万円余りと推計しています。
2022年度の国内クラウドファンディング市場規模は、およそ1,900億円、前期末比約14%の上昇の見込みです

クラウドファンディングの特徴

クラウドファンディングの特徴として次の4点があります。

  • 起案者と支援者がいる
  • 起案者は想いを伝えて資金調達が可能
  • 2つの実施方式がある
  • 起案者にも支援者にもリスクが存在する

起案者と支援者がいる

クラウドファンディングには起案者と支援者がいるのが特徴です。
起案者とはプロジェクトを発案する人のことです
資金調達を考える場合、プロジェクトの立案を行い、提示し、賛同を得られないと資金調達ができないので、どのようなプロジェクトを考えるのかがとても重要となります。
支援者とはプロジェクトに出資を行う人のことです
起案者が提示したプロジェクトが支援者にとって魅力的であれば出資を行うことで、起案者のプロジェクトを支援します。
プロジェクトによっては、リターンのない場合もあるので、支援者の目的はリターンであるのかを明確にして出資を行うようにしましょう。

起案者は想いを伝えて資金調達が可能

融資等の資金調達方法では、申込先が資金調達の可否を決めますが、
クラウドファンディングは、支援者が出資の可否を決めます。
起案者は不特定多数から資金調達が可能なので、一人がダメでも別の誰かから出資をしてもらうことが可能です。
プロジェクトに想いを伝えて支援者から賛同を得られなければなりません。
支援者は起案者に質問ができるので、起案者は熱い気持ちを支援者に伝えましょう。

2つの実施方式がある

クラウドファンディングには2つの実施方式があります。
All-or-Nothing型」と「All-In型」です。
「All-or-Nothing型」とは、起案者が募集したプロジェクトの目標金額が、募集期間内にクリアした場合のみ成立することです。
「All-In型」は、目標金額に達成する、しないに関わらず、一人でも支援者が現れればプロジェクトの成立が認められる型を指します。

起案者にも支援者にもリスクが存在する

クラウドファンディングには起案者および支援者双方にリスクが存在することも忘れてはいけません。
起案者にとっては、支援者が多数になってもリターンを確保しなければなりませんので、プロジェクトを遂行するにあたってプレッシャーがかかるかもしれません。
支援者の場合、出資したプロジェクトが頓挫するリスクもあります。
起案者、支援者それぞれリスクがある点を認識しておきましょう。

【6種類】クラウドファンディングの型


クラウドファンディングの形には大きく分けて6種類あります。

  • 購入型クラウドファンディング
  • 寄付型クラウドファンディング
  • 融資型クラウドファンディング
  • 株式投資型クラウドファンディング
  • ファンド型クラウドファンディング
  • ふるさと納税型クラウドファンディング

それぞれについて説明します 。

購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングとは、特定のプロジェクトに出資した支援者に、リターンとして商品、あるいはサービスによりお返しするクラウドファンディングです。
期限内に目標金額に達した場合のみに適用されるタイプと、目標金額に達成しなかった場合にでも適用されるタイプがあります。

寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングとは、起案者のプロジェクトに対し、支援者が寄付を行う仕組みのクラウドファンディングです。
通常リターンはなく、プロジェクトの内容は、ボランティア活動や災害支援活動等、公益的なプロジェクトが多い傾向にあります
支援者は、支援先の条件次第では、寄付金控除の対象となり、税制優遇を受けられます。

融資型クラウドファンディング

融資型クラウドファンディングとは、支援者から小口資金を集め、一定期間融資というかたちで一定期間起案者をサポートするクラウドファンディングで、「ソーシャルレンディング」という名称で知られています。
支援者へのリターンはモノやサービスでなくお金がリターンなので、支援者は資産運用として利用可能です
融資型クラウドファンディングは、金融商品の一つと解釈されるため、貸金業法等の法的な規制を受けます。

株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングとは、出資を募るクラウドファンディングで、非上場企業が資金調達の一つとして行われます。支援者は株式を取得可能です。
支援者は株式取得により、配当金や将来的に株価の上昇により売却益を手にする場合があります
かつて、年間1億円未満、投資家は1社につき50万円までと投資金額に制限がありましたが、2022年1月の法改正で撤廃されました。

ファンド型クラウドファンディング

ファンド型クラウドファンディングとは、企業が特定の事業に対して支援者から出資を募集するクラウドファンディングです。
支援者は会社でなく、事業に出資する点が株式投資型クラウドファンディングと異なります
金銭的なリターンとあわせて、その事業で生産されたモノやサービスが一般的です。
ファンド型クラウドファンディングにおいて、売上に対する分配金で利回りが算出されるので、売上によっては元本割れの恐れもあるので注意しましょう。

ふるさと納税型クラウドファンディング

ふるさと納税型クラウドファンディングとは、地方自治体が起案者となり、取り組みたいプロジェクトを具体的に提示し、賛同を得た支援者より寄付を募るクラウドファンディングです。支援者はリターンとして、返礼品を受け取れます。
また、支援者は、ふるさと納税型クラウドファンディングを利用することで、寄付金控除が受けられます
ふるさと納税型クラウドファンディングは、ふるさと納税と異なり、資金の使いみちが明確であるのが特徴です

クラウドファンディングのメリット


クラウドファンディングのメリットとして、起案者側、支援者側双方から説明しましょう。

起案者側のメリット

起案者のメリットとして、以下の2点が考えられます。

  • 不特定多数から資金調達が可能
  • 返済リスクが小さい
  • テストマーケティングとして利用できる

不特定多数から資金調達が可能

クラウドファンディングはインターネットを介しての資金調達方法ですので、不特定多数の人たちが起案者のプロジェクトを見ています。
銀行等金融機関での融資の審査に通らなかったプロジェクトであっても、多くの人の共感を得ることができるプロジェクトであれば、多額の資金調達が可能です

返済リスクが小さい

銀行等金融機関で融資として資金調達を行うと、返済義務が発生します。クラウドファンディングを利用すれば、支援というかたちで資金調達が可能です。
条件にもよりますが、クラウドファンディングによる資金調達は返済義務がないのが一般的なので、返済におけるリスクが小さいといえるでしょう。

テストマーケティングとして利用できる

起案者として、プロジェクトを公開することで、資金調達ができなくても、市場での人びとの反応をリサーチできます。
クラウドファンディングを利用し、商品やサービスについて、起案者は客観的に判断でき、テストマーケティングとしてクラウドファンディングを利用できます

支援者側のメリット

次の2点が、支援者のメリットとして考えられます。

  • リターンが期待できる
  • プロジェクトに貢献している喜びを感じられる
  • 安心して出資ができる

リターンが期待できる

クラウドファンディングにおいて、支援者が出資することで起案者からリターンを得られる点があります。
とりわけ、支援を金融型のクラウドファンディングで行っている場合、資産の運用としてクラウドファンディングの活用が可能です。

プロジェクトに貢献している喜びを感じられる

プロジェクトに出資することで、直接プロジェクトに参加はしないものの、起案者とともに貢献している喜びを感じられる点がメリットとしてあります
また、プロジェクトの状況を確認でき、市場では手に入らない商品等がリターンとして手にできる場合もあるかもしれません。

安心して出資ができる

プロジェクトをクラウドファンディングサイトに公開するには、クラウドファンディング運営事業者の審査に通らないと起案者は公開できません。
すなわち公開されているプロジェクトは、運営事業者の審査をクリアしたプロジェクトばかりなので、安心して出資ができます。

クラウドファンディングのデメリット


起案者側、支援者側にとって、クラウドファンディングのデメリットには以下の点があります。

起案者側のデメリット

起案者側のデメリットには、以下の3点があります。

  • 目標金額未達の恐れがある
  • 申込から資金入金まで時間がかかる
  • 利用手数料が必要

目標金額未達の恐れがある

起案者は、目標金額を提示しますが、支援者からの出資総額が起案者が考えていた金額より少ない場合、目標金額が未達になる恐れがあります。
当初計画していたプロジェクトを見直したり、撤退したりしなければならないリスクがあります。起案者は、プロジェクトの成功確率やマーケティング調査を計画段階で十分検討する必要があるでしょう

申込から資金入金まで時間がかかる

起案者がプロジェクトを公開し、資金を募り、実際に資金を手にするまで数ヶ月ほどかかる可能性があるので注意しなければなりません。
クラウドファンディングを利用したプロジェクトを立案する場合、クラウドファンディングを使って一部の資金を調達を行うといった余裕ある資金計画でプロジェクトを組むのがいいでしょう。

利用手数料が必要

クラウドファンディングを利用するにあたって、無料では利用できません。起案者はクラウドファンディング運営事業者に手数料を支払う必要があります。
手数料は、クラウドファンディング運営事業者やクラウドファンディングの種類によりさまざまです。
例えば、購入型クラウドファンディングにおいては、10~20%が相場とされています。

支援者側のデメリット

支援者側のデメリットには以下のようなことがあるので注意が必要です。

  • 通常キャンセルできない
  • 資金使途が本来のプロジェクト通りに使われていない恐れがある
  • プロジェクトが施行されるかわからない

通常キャンセルできない

クラウドファンディングでは、プロジェクトに賛同し出資する場合、支援者は通常キャンセルできません。出資した金額は、目標金額の達成の如何に関わらず、全額起案者に支払われることがほとんどです。
例外として、All or Nothing型の場合で、支援総額が目標金額を達成しなかった場合に限り、キャンセルできるケースがあるので、クラウドファンディング運営事業者に確認することを推奨します。
いずれにせよ、支援者は、大切なお金を起案者に託すわけなので、起案者のプロジェクトの内容やリターンを十分吟味して出資しなければなりません。

資金使途が本来のプロジェクト通りに使われていない場合がある

クラウドファンディングサイトに掲載したプロジェクトについて起案者は資金を募集します。
まれなケースで、起案者の中には、本来のプロジェクト通りに資金を使われていない場合があります。クラウドファンディングを利用しての詐欺案件は過去に発生しているので、支援者は注意しなければなりません。
支援者は起案者がどのような団体・個人なのかを、クラウドファンディング以外にも十分調査して出資を行うようにしましょう

プロジェクトが完了するかわからない

プロジェクトを公開し、募集期間内に資金が集まり、プロジェクトがスタートしても、プロジェクトが何らかの理由で、途中で失敗したり、あるいはトラブルが発生したりして頓挫する恐れもあります。その場合、支援者はリターンを手にできないリスクがあるので注意しなければなりません。

クラウドファンディングの実施や流れについて

クラウドファンディングを利用して資金調達を検討する場合、あるいは、出資をする場合、どのような流れや手順でおこなうのかについて、起案者、支援者それぞれの場合について解説します。

起案者の場合

起案者の場合、次のような流れが一般的です。

  1. プロジェクトの立案
    クラウドファンディングで資金調達を考える場合、「何のため」「誰のため」にプロジェクトを立ち上げるのかについて明確にします。目標金額や募集期間等についても検討します。
  2. プロジェクトの申請および審査
    プロジェクトの内容が決まったら、クラウドファンディング運営事業者へプロジェクトの申請を行います。運営事業者は、利用規約等に基づきプロジェクトを審査します。
  3. プロジェクトの公開
    審査に通ると、プロジェクトを公開し、クラウドファンディングを開始します。支援金を募集している期間中、PR活動を行い、情報を拡散し、多くの人に出資してもらうよう働きかけます。
  4. クラウドファンディングの募集期間の終了、プロジェクトの実施
    起案者は、募集期間内の目標金額に達成した場合、プロジェクトを実施します。支援者へのお礼を忘れずに行いましょう。
  5. プロジェクトの終了
    無事にプロジェクトを終了したことを支援者へ報告します。

支援者の場合

支援者の場合、通常、以下の流れで進んでいきます。

  1. クラウドファンディングサイトを閲覧
    クラウドファンディングサイトを閲覧し、支援者は、支援したいプロジェクトがあるのかをチェックします。
  2. 支援したいプロジェクトが見つかった場合、起案者に問合せ
    支援者は、掲載されているプロジェクトに支援を行いたいと考えたものがあれば、起案者に内容等について問い合わせを行います。支援者が考えているプロジェクトと相違する場合もあるので慎重に検討しましょう。
  3. プロジェクトの募集期間中に支援
    起案者にプロジェクトについて問い合わせを行い、検討した結果、支援する場合、支援者は募集期間内に出資の手続きを行います。通常、クレジットカード決済となります。
  4. 募集期間後、起案者のプロジェクトの活動状況を確認
    支援したプロジェクトの活動状況をサイト内で確認します。
  5. プロジェクト終了後、リターンの受け取り
    プロジェクトが無事終了すると、プロジェクトの結果について支援者に起案者は報告します。支援者は起案者よりリターンを受け取ります。

まとめ


クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数より資金調達が可能です。
行われます。資金調達を行う場合、プロジェクトを策定してクラウドファンディングサイトで公開し資金を募ります。
金融機関では審査に通らなかったプロジェクトでも、クラウドファンディングで資金調達ができるかもしれません。
一方で、クラウドファンディングは、想定した金額が集まらなかったり、資金を手にするまでに相当時間がかかったりする点も認識する必要があります。
クラウドファンディングによる資金調達方法は、かつてなかった新しい形態の資金調達方法です。
長所・短所を認識した上で上手に利用しましょう。