ファクタリングの手数料とは?手数料の内訳や抑えるためのポイントも紹介

売掛債権を活用してスピーディな現金化ができるファクタリング。個人事業主や中小企業のいざという時の資金調達手段として重宝されています。

このファクタリングでは取引の対価としてファクタリング会社に手数料が発生します。手数料の水準によって実際に資金調達できる金額が変わってくるので、しっかりと抑えておきましょう。

この記事ではファクタリングの手数料の仕組みや、手数料を抑えるためのポイントについて紹介します。ファクタリングでの資金調達を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ファクタリングの手数料とは?


ファクタリングの手数料はファクタリング会社の収益源となるものなので、必ず発生するものです。まずはファクタリングの手数料の仕組みや、その内訳について紹介します。

ファクタリングの手数料の大部分はファクタリング会社の収益源

ファクタリングの手数料はファクタリングを実行するために法令上必要な費用や、ファクタリング契約を締結する対価としてファクタリング会社が受け取るものです。

ファクタリング会社は、売掛債権に相当する現金を、債権の期限より先にファクタリング利用者に支払うことで、売掛債権の支払いが滞ったときに損失を被るリスク、すなわち資金回収リスクを負うことになります。

ファクタリング会社の視点で見ると、ファクタリングとは、この資金回収リスクを負う対価として、手数料を徴収して売上を得るビジネスです。ファクタリングはボランティアではないので、ファクタリング会社に支払う手数料がゼロになることはありません。

またそのほか印紙代、登記費用など、法令上に基づき費用が発生する場合があります。これらの費用も手数料に組み込まれるケースが多いです。

ファクタリング手数料の内訳

ファクタリング手数料の内訳についてもう少し詳しく説明していきます。必ず発生するものと、ケースバイケースのものがあるので、最終的には取引するファクタリング会社に取引の形態などを確認しましょう。

ファクタリング会社に支払う手数料

ファクタリング取引の対価であり、ファクタリング会社の収益となる部分です。この手数料がなければビジネスとして成り立ちませんので、必ず発生します。なお手数料の水準は取引の形態やファクタリング会社、審査結果によって異なります。

登記費用

ファクタリングの際に「債権譲渡登記」という手続きをおこなう場合に発生します。債権譲渡登記とは、法務省に正式に債権保有者が移転したものと登録する手続きのことで、二重譲渡を防ぐ目的で、特に2社間ファクタリングでは必須となる会社もあります。一般的に次のような費用が発生します。

  • 司法書士への報酬:8万円以上
  • 登録免許税:7,500円〜15,000円

なお、登記が不要なファクタリング会社もあります。特に登記は法人限定のプロセスのため、個人事業主のファクタリングでは登記が不要です。登記不要のファクタリング会社はこの手数料は発生しません。

印紙代

債権譲渡契約を紙面でおこなう場合に必要となります。現金化する金額に応じて変化し、200円〜数十万円の間となります。ただし、売掛債権が5万円未満の場合は非課税(印紙代不要)です。

また、印紙税は紙の契約書を作成する場合に発生する税金であるため、電子上で全ての契約が完結する場合には、印紙代は不要になります。

その他費用

次のような手数料が発生する場合があります。具体的に発生する手数料や水準はファクタリング会社次第なので、手続きを始める前に確認しておきましょう。

  • 振込手数料
  • 審査・手続き費用
  • 交通費(ファクタリング会社が利用者のオフィスなどに出張訪問する場合など)

手数料は調達する現金から差し引かれるケースが多い

ファクタリングにおける手数料は多くの場合、全て売掛債権の額面から差し引かれる形で徴収されます。

全ての手数料がこの方式で徴収される場合は、事前に手数料相当額を用意しておく必要はありません。ただし、ファクタリングによって受け取れる現金の金額は売掛債権の額面よりも少なくなるので注意しましょう。

また、ファクタリング会社によっては登記費用や印紙代などについては、別途徴収する場合もありますし、印紙についてあらかじめ自分で用意しておかなければならないケースも考えられます。

こうした場合には該当する部分の現金を先に用意しておかなければならないので、全ての手数料を売掛債権の額面から割り引く形で徴収してもらえるかどうか、あらかじめファクタリング会社に確認しておくことをおすすめします。

ファクタリングの手数料に影響を与える5つの要素


ファクタリング手数料のうち、登記費用や印紙代など法令で定められているものは、ファクタリングの取引規模や登記の有無などによって決まります。また、ファクタリング会社への取引対価として支払う手数料は、各社の手数料水準や審査結果によって決まります。

ここからは手数料の主要な部分を占める、ファクタリング会社へ対価として支払う手数料に影響を与える4つの要素について紹介します。

取引形態によって異なる

ファクタリングには利用者とファクタリング会社間で取引が完結する2社間ファクタリングと利用者・取引先・ファクタリング会社で取引を進める3社間ファクタリングがあります。

それぞれの相場水準は次のとおりです。

  • 2社間ファクタリング:5〜20%程度
  • 3社間ファクタリング:1〜9%程度

基本的に2社間ファクタリングの方が手数料が高い傾向にあります。2社間ファクタリングでは取引先の返済が滞ったときに、ファクタリング会社が取引先とコミュニケーションを取るのが難しくなるため、2社間の方が資金回収リスクが高いと考えられているためです。

ファクタリング会社によって異なる

まず、ファクタリング手数料の水準は、ファクタリング会社によって異なります。例えば代表的なファクタリング会社の例をあげると次のとおりです。

サービス名 2社間の手数料 3社間の手数料
ビートレーディング 4%~12%程度 2%~9%程度
イージーファクター 2~8%
Pay Today 1~9.5%
No.1ファクタリング 5〜15% 1%~5%
事業資金エージェント 5%~20% 1.5~9%

このように、各社幅を持たせて手数料率を設定しているケースが多いです。各取引の具体的な手数料率は、この後紹介する要因を踏まえて、各社の審査結果をもとに決定します。

売掛債権の額面規模

ファクタリングに利用する売掛債権の額面が大きいほど、ファクタリングの手数料率は下がる傾向にあります。

売掛債権の額面の大小はファクタリングを実行する上での事務負担にあまり影響を与えないため、ファクタリング会社から見れば、大きな取引をおこなった方が、大きな売上につながります。そのため、売掛債権と額面は反比例する傾向にあるのです。

一方で、売掛債権の規模が大きいということは、取引先の倒産など万が一の時に資金回収できなかったときのダメージも大きくなります。そのため、大きな金額の売掛債権は、債務者である取引先の信用力を一層厳しくみられる可能性があります。

また、ファクタリング会社によっては、ファクタリングに応じる売掛債権の金額に上限を設けている場合があります。ファクタリング会社の上限を上回る売掛債権については、そもそもファクタリングに出せない点にも注意が必要です。

取引先の信用力

ファクタリングにおいては借入と異なり、利用者の信用力はさほど重視されません。むしろ、ファクタリング会社の資金回収リスクに直結する取引先、すなわち売掛債権の債務者の信用力を厳しくチェックされます。そもそも取引先が個人である場合や、取引先の債務不履行リスクが高い場合は、審査に落ちるケースが少なくありません。

また、ファクタリングに応じてくれる場合でも、取引先の信用力に応じて、手数料率が変化する場合があります。

信用力が高く手数料引き下げに寄与しうる取引先の例

  • 官公庁(自治体、独立行政法人、公共団体)
  • 上場企業(東証プライムであればさらに良い)
  • 大企業

信用力が低く手数料引き上げに寄与しうる取引先の例

  • 創業直後の企業
  • 中小企業
  • 赤字もしくは財務が脆弱な企業

利用者の信頼度

必要書類の提出が遅い、面談での対応が悪いなど、根本的に取引先として不誠実な場合は、そもそも審査に落ちて取引ができなくなる可能性が高いです。

一方で、正常に取引を完了した実績が増えると、利用者の信頼が高まり、手数料が引き下げられるケースは少なくありません。過去の審査結果を踏まえて利用者に関する審査を省略できることや、正常にファクタリングを完了した実績がある利用者の方が、安心して取引ができることなどが背景にあります。

ファクタリングの手数料を引き下げるポイント


ファクタリングの手数料の決定要因をふまえて、ファクタリングの手数料をおさえるためのポイントを5つ紹介します。手数料をおさえてできるだけ売掛債権の額面に近い金額で現金化したいという人は、ぜひ実践してみてください。

3社間ファクタリングの利用を検討する

3社間ファクタリングは2社間ファクタリングより格段に低い手数料が設定される傾向にあります。まずは、3社間ファクタリングを利用できないか検討しましょう。

3社間ファクタリングでしばしばネックとなるのは、取引先にファクタリング利用の事実が発覚してしまうこと。ただし、取引実績が豊富で信頼関係が築けていれば、ファクタリング利用の事実を伝えてもその後の関係性に影響は出ないと期待されます。

自社の取引先のなかで、3社間ファクタリング実行の相談をしても問題ない取引先がいる場合は、まず3社間ファクタリングの実施を優先的に検討してください。

信用力の高い売掛債権を計画的に活用する

ファクタリングにおいては売掛債権の債務者の信用力が手数料率を決めるうえで重要になります。自社が保有する売掛債権を見比べて、質の高い取引先の売掛債権を活用すれば手数料の引き下げにつながります。

また、次のような要因もファクタリング会社によっては審査上プラスに働きます。

  • 支払い期限が短い売掛債権
  • 取引歴が長い取引先の売掛債権

ファクタリング会社とも相談しながら、ファクタリングに有利な売掛債権を活用していきましょう。

ただし、信用力の高い債権を無闇にファクタリングに出していると、将来さらに資金が逼迫した時にファクタリングが困難になるリスクも。いざという時の資金調達に使う売掛債権を手元に残しながら、計画的にファクタリングを活用することが大切です。

売掛債権の信用力を高める材料を用意する

売掛債権の信用力をサポートする情報をあらかじめ用意しておけば、審査上プラスに働く可能性があります。

  • 取引先の業績や財務状況のサマリー
  • これまでの取引実績
  • これまでやりとりした売掛債権の返済実績

これらはファクタリング会社から求められる情報ではありませんが、債権の信用力をサポートする材料があるなら、自分から積極的に提示していきましょう。

複数社に見積もりや審査を依頼する

どの売掛債権が審査上有利に働くかはファクタリング会社によって異なります。単純に上限や下限が低いからといって、自分が保有する売掛債権において低い手数料率でファクタリングができるとは限りません。

また、細かい審査条件は各社の機密情報なので、実際に審査を受けてみないことには厳密な手数料率はわからないでしょう。

そのため複数のファクタリング会社と相談しながら、自社が保有する売掛債権が審査上有利に働くファクタタリング会社をみつけだして、契約を進めるのがおすすめです。

同じファクタリング会社で実績を重ねる

ファクタリングが初めてではない場合には、過去に利用したファクタリング会社を繰り返し利用するのがおすすめです。

ファクタリング会社では過去の取引実績を記録しており、それは審査結果に反映されます。正常な取引実績を重ねれば、ファクタリングの手数料が下がったり、ファクタリングに出せる債権の上限額が上がったりといったメリットが期待できます。

手数料が安いなど、よりメリットの大きいファクタリング会社がみつかった場合を除いて、特段の事情がないなら、過去に利用したファクタリング会社を繰り返し利用するのがよいでしょう。

手数料をおさえられるおすすめのファクタリング会社3選


最後に手数料を抑えるうえでおすすめのファクタリング会社を3社紹介します。

ファクタリング会社に支払う対価としての手数料が低いのはもちろん、3社間ファクタリングに対応している、登記費用や印紙代がかからないなど、手数料を抑えられる特徴を持つファクタリング会社を選びました。ファクタリング会社選びの参考にしてください。

ビートレーディング

ビートレーディング引用:https://betrading.jp/

  • 手数料は2社間で4%~12%程度、3社間で2%~9%程度
  • 買取金額に上限・下限がない
  • オンライン・来社・訪問で手続きができる

ビートレーディングは2社間と3社間双方の請求書買取を受け付けています。手数料の上限・下限の目安が示されているため、極端に高い手数料を取られる心配がありません。また3社間ファクタリングにも対応しているので、どうしても2社間ファクタリングでは手数料が下がらないという人にもおすすめです。

同社では買取における売掛債権の額面に上限・下限を設定しておらず、過去には3万円〜7億円までのファクタリング実績があります。債権の規模に関わらず利用しやすいファクタリング会社といえるでしょう。

また、同社はオンライン・来社・訪問の3形態で取引手続きを受けられます。オンラインで簡潔に済ませたい人、対面で詳しく取引について説明してほしい人、どちらのニーズにも対応可能です。

イージーファクター

イージーファクター引用:https://no1service.co.jp/easyfactor/

  • 手数料が2~8%と明記されている
  • 手続きはオンラインで完結するため事務手数料なし
  • 登記移転にかかる手数料もなし

イージーファクターはオンライン特化の2社間ファクタリングを実施する会社。ITを活用したコスト削減により、2社間ファクタリングでありながら2~8%という低い手数料を実現しています。

手続きはオンライン上で全て完結するため、ファクタリング会社への訪問や対面での面談は不要です。またクラウドサインというクラウド契約書を利用するため印紙税がかからず、事務関連の手数料は無料になっています。

また、同社は2社間でありながら、債権譲渡登記が不要となっています。すなわち登記費用も発生しないため、ファクタリング会社に支払う対価のみで手数料が構成されています。取引に付随する費用の部分でも手数料をおさえられるのが、イージーファクターの魅力です。

Pay Today

ペイトゥデイ引用:https://paytoday.jp/

  • 手数料は1~9.5%
  • 買取手数料以外の費用はなし
  • 最短1時間で現金化可能

Pay Todayは手数料の下限が1%と、2社間ファクタリングとしては低水準。さらに上限も9.5%と相場対比で低めの設定となっており、手数料を抑えるうえではおすすめのファクタリング会社です。

さらに債権譲渡登記をおこなわず、紙ベースでの契約書面も交わさないため、登記費用や印紙税もかかりません。純粋に買取手数料だけが発生するため、手数料を圧縮できます。

オンラインを通じた手続きにより迅速に対応できるのも特徴。審査時間が最短30分、審査後入金までが最短30分なので、利用者側の手続き対応にかかる時間を除くと、最短1時間程度で入金まで完了する計算です。

ファクタリングの手数料の仕組みを理解して、効率的な現金化を


ファクタリングはビジネスである以上、手数料が必ず発生します。ただし取引形態やファクタリング会社の選択、譲渡する売掛債権などにより手数料を抑える余地があります。

また、登記費用や印紙代など取引に付帯して発生する手数料を回避できるファクタリング会社も少なくありません。

今回の記事を参考に、ファクタリング手数料の決定要因を理解したうえで、手数料をおさえる工夫を実践し、効率的に現金化を進めましょう。