一般的な請求書買取ファクタリングでは請求書が発生するまでの資金手当てが課題になる企業も多くあります。ここで利用したいのが注文書ファクタリングです。
製品の納品前に現金化できて資金繰りが困らないといった点がメリットです。このように便利な注文書ファクタリングですが、デメリットもあります。
本記事を読むことにより、注文書ファクタリングの本質やメリット・デメリットを理解してもらえるでしょう。そしてご自身が注文書ファクタリングを利用するのかの、判断基準にしていただければ幸いです。
注文書も現金化可能!注文書ファクタリングの基本も解説!
一般的にファクタリングで必要になるのは売掛債権といわれる請求書です。しかし、注文書を活用したファクタリングもあるのが現実です。
それではこれから注文書ファクタリングの基本を解説していきます。さらに、注文書ファクタリングの基本と請求書ファクタリングとの違いを解説します。
注文書ファクタリングの基本を押さえよう
ここでいう注文書とは、取引において2段階目に発行される書類のことになります。注文書は、見積書に納得したうえでサービス提供を求める書類です。請求書は取引が終わった後に請求するので、注文書より時間がかかってしまいますよね。
実はこの注文書はとても便利なもので、現金化することも可能です。
注文書の額面から手数料を差し引いた金額を現金化する点が注意点です。サービスを提供する前に現金化することが可能なので、サービスや製品の資金繰りにも困りません。請求書ファクタリングよりさらに早く現金化が可能です。
注文書ファクタリングと請求書ファクタリングの違い
さてこんな便利な注文書ファクタリング。請求書ファクタリングとの大きな違いを表にまとめてみました。
請求書ファクタリング | 注文書ファクタリング | |
---|---|---|
買取対象 | 請求書 | 注文書 |
資金調達のタイミング | 請求時点 | 仕事の受注時点 |
手数料 | 2〜20%程度 | かなり高額 |
取引の締め日から、支払いまでの期間の長さ | 最大30日~60日程度 | 最大180日程度 |
取引先への通知 | 3社間では◯
2社間では× |
× |
こうして見ていくと、注文書ファクタリングでは、仕事の受注時点と早い段階で現金化することが可能です。また、取引先への通知もされることはありません。さらに、取引の締め日から、支払いまでの期間の長さも最大3倍以上もの差があります。
これだけ見ていくと注文書ファクタリングの方が良いように感じますが、手数料を見ていきましょう。請求書ファクタリングは一般的に手数料は2〜20%程度だと知られています。しかし、注文書ファクタリングでは請求書ファクタリングより高額になります。
もちろん手数料はファクタリング会社によっても異なってくるのが現実です。ですから、いくつかの会社に相談したうえで判断するのも良いでしょう。請求書ファクタリングよりは高くともお手頃な手数料で請け負ってくれる会社を探すとよいですね。
注文書ファクタリングのメリットを徹底解説!
それでは注文書ファクタリングのメリットを解説していきます。メリットは大きく分けて3つあるので、それぞれを詳しく見ていきましょう。
請求書ファクタリングより早いタイミングで現金化できる
まず、注文書ファクタリングでは請求ファクタリングより早い時期に現金化できます。中には製品を作るのに多大なコストがかかるビジネスもありますよね。そういった事業には特に役に立つサービスが注文書ファクタリングです。
注文を受けたらすぐに注文書を現金化することで、製品を作るための多大なコストが解消されます。中には受注から納品までの期間が長い取引もあるでしょう。そういった取引にはとても有効な手段となります。
支払いまでの期間が長い
次に、請求書ファクタリングと比較してファクタリング会社に支払うまでの期間がとても長い点がメリットです。比較対象になる請求書ファクタリングは、最大30日〜60日程度の期間となります。それに対して注文書ファクタリングは最大180日ととても長い期間が設定されます。このことにより、受け取るであろう現金を早期に現金化可能ということになるのです。
注文元への通知はなし
最後に最大のメリットをお話ししましょう。ここでいう注文書ファクタリングは基本的に2社間ファクタリングの形です。ですから、注文書ファクタリングでは通知を注文元にすることはありません。取引先とまだ関係が薄い場合、ファクタリングのことはなるべく知られたくないですよね。そのようなことで悩むことなく現金化を進められるのは良いですね。
さらに取引先に関してはファクタリングの審査などにも一切関係しません。ですから、審査から入金までを出来るだけ早く簡潔に進められます。
注文書ファクタリングのデメリットを徹底解説!
対して注文書ファクタリングはデメリットもあることで知られています。ですから、こちらに記載してあることも含めて検討しましょう。
手数料がかなり高額
まず、注文書ファクタリングでは、請求書ファクタリングより手数料が高額に設定されます。
何故なら、ファクタリング会社にとって回収リスクが高いためです。請求書ファクタリングの場合のリスクは、取引先の倒産といったあまりケースとしては存在しないものになります。
対して、注文書ファクタリングは取引が正常に完了しない可能性があることがリスクとして出てきます。ファクタリング会社にとっては高いリスクを背負う契約です。ですから、手数料は請求書ファクタリングより高額になります。
そのことにより、現金化できる金額は注文書に記載がある額面と比べてかなり小さくなってしまうことがデメリットです。ですから、注文書ファクタリングはいざとなった時の対応に止めた方が良いでしょう。
ファクタリングを利用したいのなら、請求書ファクタリングの利用も良いですよ。
2社間ファクタリングしかない
請求書ファクタリングでは3社間ファクタリングを利用できますよね。3社間ファクタリングを利用すると手数料は安くなることで知られています。また、取引先への代金の請求は自社の責任のみで進めることになるのでリスクを伴う部分があるでしょう。
注文書を扱えるファクタリング会社が少ない
ここまで注文書ファクタリングを説明してきましたが、最大のデメリットと言えるべきことがあります。それは注文書を扱えるファクタリング会社が少ないことです。何故なら、リスクが高い取引であるためより高度な審査能力が求められるからといったところですね。
また自社が審査落ちする場合もあるでしょう。そうすると代わりのファクタリング会社を見つけることも難しくなります。要するに現金化ができないということも出てくるでしょう。
ファクタリングの使い分けのポイントを徹底解説!
請求書ファクタリングと注文書ファクタリングはどちらも良いサービスです。ですから、どちらか一方が優れているというものではありません。状況に応じて自社で2つのファクタリングをうまく使い分けましょう。
この項目ではより適していると専門家が見て考えられるものを紹介します。
請求書ファクタリングを使おう
これから請求書ファクタリングを使うべきケースをご紹介します。
- 確実に現金化を実現したいと自社が考える場合
- 次の仕事の準備資金を用意したい場合
- より多くの現金化を行いたい場合
注文書ファクタリングはファクタリング会社にとってリスクの高い契約です。ですから、さまざまな面から厳しくチェックを受けることになるでしょう。例えば、注文書の正当性や現金回収の確実性です。
審査基準が厳しいことから請求書ファクタリングなら審査通過しても、注文書ファクタリングでは審査通過をしない企業もあります。審査通過しなければ現金化はできません。
また、次の仕事の資金を準備するためであれば、請求書ファクタリングで事足りるでしょう。手数料が高額である注文書ファクタリングを利用しなくても良いケースです。
さらに、多くの現金化を行いたいケースでは請求書ファクタリングをおすすめします。特に、3社間ファクタリングを活用することで、手数料は抑えられます。さまざまな面から考えてファクタリング会社にとって条件がよい場合には、5%以下の手数料も可能です。
注文書ファクタリングを利用しよう
対して早く現金化してしまいたい人には注文書ファクタリングがおすすめです。
- 受注した仕事に必要な資金が足りないケース
- 受注から納品まで時間がかかり資金繰りに困るケース
人件費や材料費などが足りない場合は他に手立てがありません。ですから早期に注文書ファクタリングを利用して現金化してしまいましょう。
また、受注から納品まで時間がかかるビジネスをしている会社は、売上になるのは何ヶ月後かの話です。決算や財務状況を見ながら現金化していきましょう。
スムーズな現金化は注文書ファクタリング
注文書ファクタリングではスムーズな現金化が可能です。人件費や材料費などが足りない場合には利用してみるのも良いですね。一方で、このようなデメリットもあります。
- 手数料が請求書ファクタリングと比較して高額
- 扱えるファクタリング会社が決まっている
- 審査が厳しい
注文書ファクタリングにも請求書ファクタリングにも良さがあります。どちらが良いというわけではなく、状況によって使い分けることをおすすめしたいです。注文書ファクタリングを利用してぜひ資金繰りを改善してください。
とはいえ、使いすぎると資金繰りは悪化しますので適切な利用をしていただきたいです。