エクイティファイナンスの種類やメリット・デメリットについて徹底解説!

エクイティファイナンスの種類やメリット・デメリットについて徹底解説!

資金調達方法には様々な方法があります。銀行融資やカードローンなどが一般的な資金調達方法ですが、他にもたくさんの資金調達方法があるのをご存知でしょうか?

多くの資金調達方法を知っておくのは、非常に重要です。

なぜなら、たくさんの資金調達方法を知っていれば、最善な資金調達方法を選ぶことができるからです。

そこで今回は、代表的な資金調達方法の1つであるエクイティファイナンスについて詳しく説明をします。わかりやすく説明をしますのでぜひ参考にしてください。

エクイティファイナンスとは?


エクイティファイナンスとは、企業が新株を発行して、資金を調達する方法です。

資金調達方法は主に銀行融資などのデッドファイナンスと、新株を発行するエクイティファイナンスに分かれます。ちなみに、エクイティとは株式資本、自己資本の意味です。

ただし、一口にエクイティファイナンスといっても、エクイティファイナンスには様々な種類があります。次の章ではエクイティファイナンスの主な種類についてわかりやすく説明をしますので参考にしてください。

エクイティファイナンスのメリット


エクイティファイナンスには様々なメリットがありますが主なメリットは4つです。

  1. 返済期限が原則ない
  2. 利息の支払いの必要がない
  3. 財務面が強化される
  4. ネットワークが広がる

エクイティファイナンスのそれぞれのメリットについてわかりやすく説明をします。

返済期限が原則ない

エクイティファイナンスは、銀行融資のような返済期限はありません。新たに株式を発行して資金を調達する方法になるためです。返済期限があるとどうしても目先にとらわれた経営になりがちです。

しかし、エクイティファイナンスは返済期限がないので、設備投資など長いスパンで見たい投資を行うことができます。返済期限がなくフレキシブルに利用できるのはエクイティファイナンスの大きなメリットといえるでしょう。

利息の支払いの必要がない

エクイティファイナンスは銀行融資やカードローンと違い、利息の支払いの必要がありません。利息の支払いがあると、金利が高ければ高いほど大きな負担になってしまいます。その点、エクイティファイナンスを行う際に、新株の発行などを行う費用はかかりますが、利息の支払いの必要がないのは大きなメリットでしょう。

財務面が強化される

新株を発行することによって自己資本を増やすことになるので、財務面が強化されます。

財務面が強化されると、銀行や信用金庫などの金融機関からの信頼性が高くなり、今後、融資を受ける際に有利になるでしょう。今後、融資などを受けやすくなるのは、エクイティファイナンスの大きなメリットでしょう。

ネットワークが広がる

エクイティファイナンスに参加する投資家の立場から見ると、エクイティファイナンスに参加する主な目的は、キャピタルゲインやインカムゲインでしょう。

エクイティファイナンスを行う企業で、めでたく期待通りにキャピタルゲインやインカムゲインを上げることができれば、他の投資家に該当企業を紹介してくれる可能性があります。

また、様々な新しい出資者を募ることができるため、多くの知見を手に入れることができる可能性があるでしょう。出資者の中にはエンジェル投資家がいるケースも多く企業の成長に一定の企業をしてくれる可能性もあります。

このように、様々なネットワークを手に入れられるのはエクイティファイナンスを行うメリットといえるでしょう。

エクイティファイナンスのデメリット


エクイティファイナンスには、様々なメリットがありますが、デメリットもあります。

エクイティファイナンスの主なデメリットは5つです。

  1. 株主構成が大幅に変わってしまう可能性がある
  2. 既存株主の反発を受ける可能性がある
  3. 手続きが複雑で時間と費用がかかる
  4. 配当金の支払いが多くなる可能性がある
  5. 優遇税制の対象外になってしまう可能性がある

エクイティファイナンスのそれぞれのデメリットについてわかりやすく説明をします。

株主構成が大幅に変わってしまう可能性がある

エクイティファイナンスの種類によっては、新株を発行し新たな株主を増やす可能性があります。

新たな株主が増えるのはメリットでもありますが、デメリットでもあるでしょう。なぜなら、株主構成が大幅に変わってしまう可能性があり、今までのような安定経営ができなくなってしまう可能性があるからです。

もちろん、「モノ言う株主」などが悪いわけではありませんが、過度に経営に口出しをされてしまうとその株主に気を使った経営をせざるをえません。

エクイティファイナンスによって資金調達をすることで、株主構成が大幅に変わってしまい、今後の経営に影響与えてしまう可能性があるのがデメリットといえるでしょう。

既存株主の反発を受ける可能性がある

新株を発行することによって、既存株主の反発を受ける可能性があります。

なぜなら既存株主が保有している株式の価値が薄まってしまうからです。

株式の価値が薄まってしまう、配当金の受け取りが少なくなったり、株主総会などでの意見をいう権利が弱くなってしまいます

このように、場合によっては既存株主の反発を受ける可能性があるのは、エクイティファイナンスの大きなデメリットになるでしょう。最悪の場合、安定株主を手放す事態になってしまう可能性がありますので、既存株主に対しては丁寧な対応をするようにしてください。

手続きが複雑で時間と費用がかかる

エクイティファイナンスは新株を発行するなど手続きが複雑で時間と費用がかかるのが一般的です。

すぐに資金調達できるわけではなく、ある程度の時間がかかってしまうのはデメリットになるでしょう。

また、当然ですが、新株の発行などはただでできるわけではありません。費用が発生してしまうのもエクイティファイナンスのデメリットになります。

配当金の支払いが多くなる可能性がある

エクイティファイナンスは、確かに利息の支払いの必要はありません。しかし、株式総数が増えることや株主が増えることによって配当金の支払いが多くなる可能性があります。

特に、インカムゲイン重視の出資者が新たに入ってくると、配当金の引き上げを要求される可能性は十分にあるでしょう。

配当は安定的に一般的には出すものになりますので、長期目線で見ると利息よりも負担が重くなってしまう可能性があります。配当金の支払いが多くなる可能性があるのはエクイティファイナンスを行う上でのデメリットといえるでしょう。

優遇税制の対象外になってしまう可能性がある

日本は中小企業に様々な税制優遇を与えています。

しかし、法人税法では、資本金によって会社の規模を判定しているため、エクイティファイナンスを行うことによって、資本金が増え、税制優遇の対象から外れてしまう可能性があるのです。

優遇税制を受けるためには、「各事業年度終了時において資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人」または「資本もしくは出資を有しない法人」である必要があります。

上記の基準に当てはまらなくなってしまうと以下のような優遇を受けることができなくなってしまいます。

  • 法人税率の軽減
  • 欠損金の繰越控除
  • 欠損金の繰戻還付
  • 交際費課税の特例
  • 固定資産税・都市計画税の減免措置

このように資本金を増やすことによって優遇税制が受けられなくなってしまう可能性があるのはエクイティファイナンスのデメリットといえるでしょう。

主なエクイティファイナンスの種類は4つ!


エクイティファイナンスには様々な種類がありますが、主な種類は4つになります。

  1. 公募増資
  2. 株主割当増資
  3. 第三者割当増資
  4. 転換社債型新株予約権付社債

それぞれの特徴についてわかりやすく説明をしますので参考にしてください。

公募増資

公募増資は、不特定多数の投資家に、新株を引き受ける権利を与えて、発行した新株を割り当てる対価として出資を受ける資金調達方法です。公募増資は、時価より少し安い価格で決定されることが一般的なので、割安価格で株式を手に入れられるメリットが投資家にはあります。また、企業にとっては多くの株主を集められますし、大規模な資金調達を行うこともできるでしょう。

一方、デメリットは、多くの株主を募集するため費用が発生するほか有価証券届出書などを作成する事務手続きが発生することでしょう。

株主割当増資

株主割当増資は、既存の株主に新株を割当増資を行う方法です。既存の株主は、新株の引き受けを受け入れない権利はありますが、その場合、相対的に株式保有率及び株主総会等における権利が希薄化してしまいます。

企業側から見ると、株主割当増資は、既存株主の反発を抑えやすく、公募増資のように不特定多数の株主が入ってくるわけではないので安心感があります。

ただし、既存株主のみに限定されるので、大規模な資金調達は難しいのがデメリットといえるでしょう。

第三者割当増資

第三者割当増資とは、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与える資金調達方法です。特に、スタートアップ企業で最も活用されている方法で、一般的にはエンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどが出資者となるケースが多いです。第三者割当増資は、自社との関連性が高い出資者を集められるため資金が集まりやすいです。また自社に理解がある出資者が多いため、経営がしやすいのも特徴といえるでしょう。

ただし、全体の株式数が増えるため、既存株主にとっては、デメリットになります。なぜなら相対的に株式保有比率や株主総会などでの権利が埋まってしまうからです。第三者割当増資を行う際は事前にしっかり調整をする必要があるでしょう。

転換社債型予約権付社債

転換社債型予約権付社債とは、ある一定の価格に株価が到達した場合、株式に転換することができる債券です。

投資家から見ると、株価が上昇してくれれば、株色に転換することによって大きな利益が得られます。また、もし株株価上がらずに株式に転換できなくても、社債のまま保有できるのであらかじめ決められた利息と満期まで保有すれば元本が戻ります。

資金を調達する企業から見ると、発行するのはあくまで社債になるので新株を発行するときに必要なバリュエーション(企業価値評価」の算定の必要がありません。

しかし、社債なのであくまで借金になり満期になれば元金を返済しなければならないですし、株式に転換できないと利息を払い続ければならないデメリットもあります。

エクイティファイナンスとデットファイナンスの比較


エクイティファイナンスの意味や種類についてご理解いただけたでしょうか?

そこでこちらの章では伝統的な資金調達方法の銀行融資等のデッドファイナンスと比較してみます。

エクイティファイナンスとデットファイナンスの主な違いは5つです。

  1. 返済期限の有無
  2. 経営権への影響の有無
  3. 財務諸表への影響
  4. 利息の有無
  5. 資金調達までの時間

エクイティファイナンスとデッドファイナンスの違いについてわかりやすく説明します。

返済期限の有無

エクイティファイナンスとデットファイナンスの大きな違いは返済期限があるかどうかでしょう。
エクイティファイナンスは新株を発行して資金調達をする方法なので、原則返済期限はありません。一方、デットファイナンスの代表格である銀行融資は、当然ですが、返済期限が細かく決まっています。

返済期限があるとどうしても、目先の利益に集中しがちですが、規制期限がなければ設備投資など将来に向けた大きな上で意識を使うことが可能です。このように返済期限に違いがあるのはエクイティファイナンスとデットファイナンスの大きな違いになるでしょう。

経営権への影響の有無
エクイティファイナンスは返済期限がない非常にありがたい資金調達方法ではありますが、新株を発行する資金調達方法なので、株主が増える可能性があります。

経営に理解がある株主であれば問題ないかもしれませんが、中には「モノ言う株主」もいるでしょう。

もちろんモノ言う株主が悪いわけではありませんが、経営に大きな影響与えてしまう可能性があります。

一方でデットファイナンスの場合、新株を発行するわけではありませんので特に経営権の影響はありません。経営権の影響が気になる場合は、デッドファイナンスを選択した方が良いでしょう。

財務諸表への影響

エクイティファイナンスは、新株を発行するので、自己資本が増えます。

自己資本が増えると、自己資本比率が高くなりますので、金融機関などから見ると信用力が増すので、今後の銀行融資等を受けやすくなるメリットがあります。

一方、デットファイナンスの場合は、負債が増えることになりますので、今後の銀行融資等に悪影響を与えてしまう可能性があるので注意が必要です。

もちろん、財務的に問題のない範囲での借り入れであれば全く問題はありませんが、借り入れがあまりにも大きすぎると今後の融資に大きな影響を与えてしまいますので慎重に判断するようにしましょう。

利息の有無

エクイティファイナンスの場合、利息は発生しません。一方で、ファイナンスの場合、銀行融資などを受けると利息が発生します。利息の有無はエクイティファイナンスとデットファイナンスの大きな違いになるでしょう。ただし、エクイティファイナンスは利息は発生しませんが、その後の配当政策に影響を与える可能性がありますので注意してください。

資金調達までの時間

資金調達までの時間に関しては、デットファイナンスの方が一般的に早いです。特に信頼関係のある金融機関がある場合、比較的早く融資を受けられるでしょう。

一方、エクイティファイナンスは、様々な準備が必要です。慣れていればそんなに大変な作業ではないかもしれませんが、それでも一定の時間がかかるのが一般的です。

まとめ


今回はエクイティファイナンスについて紹介をしました。エクイティファイナンスは返済の義務がなく利息の発生もない非常にメリットの多い資金調達方法です。

また、様々な出資者が集まることにより有益なネットワークを築ける可能性もあります。

ただし、配当金の支払いが今後増えてしまう可能性や優遇税制が受けられなくなってしまう可能性があるなどのデメリットもあるので注意してください。

資金調達の方法についてはたくさんの種類を知っておくことに越した事はありません。ぜひ今回の記事を参考にしていただき伝統的な銀行融資だけではなくエクイティファイナンスを用いた資金調達方法についての理解を深めていただければ幸いです。